つけっぱなしのテレビの隣、少し開いたふすまから「もしかして誰にも言えないの?」いや…想像していた自分と違ったことにきまりが悪いだけ。「席を譲りましょうか?」いいんです。立っている方が楽なんですよ。一面一面景色を揃えて次の駅のゴミ箱に捨てる(味の無くなったガムと仲良く)似合った場所が見つからなくても好きな場所があればやっていけるだろ。わざと残した最後の一本を吸って帰る理由を再確認する。路地裏の陰りが優しいから、ずっとそこにはいられない。いつのまにか夜が明けて今僕がどこに立っているかがやっとわかったぜ。思っていたほど近くはないが、歩いていけるということ。電話ボックスの中で透明な身体の女が受話器を握ってる。触れるとあとが付くほどやわらかく、そうそう、それが悲しさだった。ともかく語尾に気をつけろ。語尾が過去と未来の進行を分けるんだぞ。人気のない街並みだからこそなにか伝えようとしてる。切れかかった街灯が俳句を詠む。鳥はなぜわざわざ真上を飛んでいく。あなたは誰かの夢でした。おやすみ。

僕のI Shall be Released

夕方突然、Bob Dylanの「I Shall be Released」の和訳が頭の中に浮かんだ。
以下、僕の訳です。ボブ・ディラン、カバーをしてきた音楽家たちに敬意を表して。
また思いつけばまた歌いたい。

 

なにもかもが変わるのに
おまえだけ置いてけぼりなんてないさ
それでもひとりぼっちだと言うのなら
おれもひとりぼっちでそばにいるぜ

夕陽が沈んでく 一日が終わる
そのときおまえは何を思うんだい

悲しい気分になると
おまえは"みんなが"って口にするけど
その"みんな"って誰のことだい
おまえの本当の話が聞きたいんだ

夕陽が沈んでく 一日が終わる
そのときおまえは何を思うんだい

疲れ果てたおまえのために
おれが出来ることなんてしれてるかもな
でもおれはいつもおまえのことを
"ひとりじゃないよ"って思いながら見てるよ


夕陽が沈んでく 一日が終わる
そのときおまえは何を思うんだい

夢うつつ日記

こんな夢をみた。カウンセラーの先生が泣いている。僕も泣いている。カウンセラーの先生は生まれたばかりのお孫さんの話をしていて、赤ん坊と大人は全然違うんだよ、と言っていた。部屋には西日が差し込み、壁はオレンジ色で先生の顔は陰っていた。目が覚めて、僕は本当に涙を流していた。それから声をあげながらしばらく泣いた。涙はどんどん溢れ出た。目が覚めて泣いていたことが何年か前にもあった。それは初めてお付き合いした人の夢を見た朝だった。四月の雨はたしかに冷たい。少々疲れた。

ここはどこなんだろう

昨日とおんなじいつもの部屋だけど

不思議になって思うんだ

ここはどこなんだろう

生まれた時から僕は僕だけど

たまにわからなくなるんだ

僕は誰なんだろう

忘れられるのがとっても怖いのに

一人になろうとするなんてズルい人だよ

名前を呼ぶんだ、魔法のように

暗い気持ちでも ほんの少しでも

楽しい思い出があればやっていけるよ

名前を呼ぶんだ 、魔法のように

名前を呼ぶんだ、魔法のように

薬はいらない、返事をくれよ

夕闇から逃れるように飛び去っていく鳥に見えた
夜は大きな口を開けて罠にかかる誰かを待つ
遠くなる都会の灯りと目の前の闇の間で
もらった手紙をずっと眺めていた

君が美しくなる 昨日の夢の中で
君が美しくなる前になにげない話をしたかっただけ
あの日交わした約束が想い出みたいだ
脚色が多くて今では遠くてすりきれて

季節が変わって 風景が変わる
時計の針の音が気になる
冬枯れた庭にあの子が立っていた
なにも言わずに立っていた

薬はいらない、返事をくれよ
薬はいらない、返事をくれよ

わかってたまるかよ 君の気持ちなど
わかってたまるかよ 僕の気持ちなど
すり切れるまで走ろう
骨になるまで走ろう
いつかはすべてが無くなるというの

薬はいらない、返事もいらない
なにもいらない、なにもほしくない

もう薬はいらない、返事をくれよ
薬はいらない、返事をくれよ

お願い お願い お願い お願い