ヘヴン

heron · ヘヴン きみが思うならそうだよ きっとそうだよ そこに間違いなんて ないんだよ 僕は今も考えてる ずっと考えて わかったことなんて 大してないんだ ヘヴンはいらない ヘヴンはいらない 出来るならきみと どっかへ行きたい 死んでなんかいないのに…

雨が降っている。雨が降っているときは、雨が降っていると書きたい。むかし読んだ誰かの本の話では、簡単なことほど書くのが難しいものらしい。わかるようなわからないような、けど書いてみたらわかるかもしれないから、雨が降っているときは雨が降っている…

なんにも言葉がない 画がない 僕がいない そのことを伝えておきたい

突き出した拳をゆっくり開き、その中にある空白を認める。霧は晴れたな。言葉も渋滞するし、帰れないまま死んだりする。いくつもの墓を眺めながら、沈黙に耐えきれずに歌は生まれたのだろう。歌が必要な人たちのために。ともかく、今夜はこの明瞭な頭脳を味…

長い間奏

生活のところどころでヘンリー・ダーガーのことを思い出す。部屋の掃除をしたり夕飯の支度をしたり、超現実的な風景の中で彼が創った超非現実的な風景に想いを寄せる。いや、その超非現実的な壮大な物語を紡ぐことに一生を費やし、誰に見せるでもなく死んで…

もう6月だということにさっき気がついた。低気圧と高気圧にもまれながら、浅い眠りの中でいくつもの夢を見た。萌える草木の光を浴びて、誰も知らない涙をこぼした。その日のうちに掴めそうな感覚が、その日のうちに消えてった。ふるさとを指す一等星が、いつ…

「あゝ、ボーヨー、ボーヨー」と晩年の中原中也はつぶやいていたそうだ。『前途茫洋』とは前途有望の反対語で、この言葉が彼の造語であるということはつい最近知った。中学生の頃、父親の本棚から抜き取った詩集の中に見つけた彼の写真は、弱々しくて悲しそ…

身体いっぱい泣いてみたい

年末より年が明けて三が日が終わったあたりがさびしい。よく笑い合ったもんだ。ありがとう。祭りのあとのさびしさ。贅沢なもんだ。しかし、時間が過ぎていくことをさびしいと思うことこそ老いの象徴みたいな気がするので、やめておきたい。それは友達に教わ…

今年はどうだった?と、365個のイルミネーションが問いかけてくる。僕は、なかなかよかったよと言いながら背を向けて、暗い路地を歩いていく。辿り着いた家の窓には、すでに灯りが点っている。それがこの1年の内に僕が見つけた光だということを、もうずいぶ…

最近、身体の調子がよろしくない。風邪のようで、そうでない。年々冬が苦手になる。10代の頃は冬が好きだった。あの頃の僕の気持ちはほんとにひとりだった。そして、ひとりの時間を有意義に使うことが出来ていた。連休中、とにかく眠った。夜中にどしゃ降り…

仲間たちの輪から離れ、帰路につくとき、暗闇の中にちょうど1人分の空白を見つける。それが光であった試しはないのだけれど、僕はすっかりそこに落ち着く。暗闇は安物のスポンジのように荒いが、やわらかい。チープというのは簡単に替えがきくから安心する。…

自由に飛べると知っていたはずなのに僕達にはなんで飛べない時期があったのかなあ

今朝はずいぶん不機嫌なまま見送ってしまい、そのことを夕方まで気にしていた。僕に残された時間はあと夜しかない。だから部屋を明るく満たすことにした。自分の夢の中ですら、いじめられることだってある。ゆるやかに自走するおもちゃの車に指を軽く押し当…

寄せる波に寄せて

いつもは雨が好きだけど、昨夜の雨はあんまりだった。このびしょ濡れになった身体を連れて帰らないといけないのかと、面倒になった。時折、人間ぜんぶにウンザリする。ざっくばらんなディストピアを描いては、そこに存在する自分に対しての都合の良さに気付…

グリューベライを聴きながら

世の中はだんだん狂ってきていると誰かがつぶやいているのを見た。世の中はだんだん狂ってきているのだろうか。ジョン・レノンがインタビューの中で「世界は狂人によって支配されている」と語るのを見た。世界は狂人によって支配されているのだろうか。僕は…

ゴッホ走り書き

ゴッホの映画を観てたら悲しくなった。終いにはゴッホの絵を見ただけで泣けてきた。何のおごりもなしに思うのは、僕とゴッホは少し似てる。僕はゴッホに共感する。僕は天才じゃない。だから狂気もない。どちらが先かはわからない。映画の中のゴッホは「自分…

虚しさがぼくの血を吸って

虚しさがぼくの血を吸って味のないガムを噛み続け吐き出せないまま夜になり味気ない今日を飲み込んだ虚しさがぼくの血を吸って伸び切ったゴムをもてあそび捨てきれないままポケットに使えない心がちぎれたぽっかり空にあいた穴夜でもないのにクライクライク…

朝っぱらからセミが鳴く 毎日のように蚊に食われる 血をくれてやっているのだと言いながら 片手で足を掻いている 台所に置いたコバエ取りは機能せず 目標は依然目の前を嫌がらせのように飛行中 半年間オスだと思って飼っていた熱帯魚が 実はメスだということ…

行方知れずのピリオドたち

日記。僕の日記は夕暮れから始まる。たくさん雨が降った。溢れ返るほどの恵みも考えものだ。実家の裏山では土砂崩れが起きたことがなかったことを思い出した。山の頂上付近はあえて植林せず、雑木林のままになっている。雑木が落とす葉っぱがスポンジのよう…

夜と朝を繰り返し

夏には弱い。もともと体温が高くて汗っかきなこともあり、毎夏夕方にはヘトヘトになっている。派手に濡れたシャツを見て、体の半分以上が水分だという事実を実感する。クーラー要らずだった山間にある実家でも、近年耐えきれない暑さが続いている。このまま…

天国への帰り道を辿ろうとするな

慌ただしい日々の中、浮いては消える日々の泡。数ヶ月前とは打って変わった暮らしっぷりに、ふと、とんでもないことになったなあと思うときがある。現在と比べられるものは未だに過去しかない。それはこれからもそうだろう。子供の頃はとんでもないことなど…

僕は知っている。砂のように消えちゃうんである。いつもいつも、なにもかも。だけども握りしめた手の平の熱さが好きだ。失うものがないことに生かされている気がしてくるんだ。今夜、まっすぐ家に帰れなかった僕は、公園の砂場に投げ捨てられたプラスチック…

Rolled into your room like a rolling stone

3月も半分を過ぎた。あっという間に感じるけど、関東に引っ越してきて1カ月ちょっとと思うと、その割にはいろいろな出来事があったなと長く感じたりもする。引っ越しもすぐに思い立ってすぐに実行したので、まだ体や魂の全部がこっちに移ってきてないような…

おめでとう

去年の夏、彼女と科学館のプラネタリウムに行ったことを思い出していた。解説員の話によれば、我々がいる太陽系は天の川銀河という中にあるそうだ。天の川銀河は50個ほどの銀河からなる「局部銀河群」と呼ばれる銀河のグループに属しており、一番近いアンド…

うたいたいうたは

慣れない電車に乗り、知らない駅で降りた。東京の町を行き来していると、なぜだか飛び出す絵本を思い出す。それからビルに囲まれた墓地について考えた。一瞬は目を開いている間に、永遠は目を閉じた中に生じるはずだ。帰り道がなぜあんなにもあっという間に…

まだ乾き切っていない絵の具があるようで

中園孔ニさんという画家の絵を一度見てしまうと、しばらく中園さんの絵で頭の中が埋め尽くされる。どこかこの世のものではない風景を見ているような、異質で、けれども決して心地が悪いわけではない、とにかく不思議な絵。こんな感覚になった作品はなかなか…

俺は今すぐにでも解放されるべきなんだ

陽の光が差し込んだ、アパートの2階のベッドの上。建物の影も無い、空の青だけがぼんやり映る窓を眺めていると、この部屋は空中に浮かんでいるかのように思われた。毎朝うろ覚えの夢を頭に浮かべながら目が覚めて、また自分のいびきがうるさかったのではない…

魂の復活

恐ろしい夢を見た。殺人鬼に襲われ、逃げて逃げて、ついにはその殺人鬼を殺してしまうのだ。疲れ切って目が覚めて、すぐさまこの夢を誰かに伝えたくなった。僕にはこの夢の意味するところがわかっていた。ナイスタイミングで報せがくる。喜ばしい内容だろう…

どこに行こうか

ほんのり春のにおいがする。まだ1月も半ばだけど、寒さは少し落ち着いたようだ。子供の頃はもっと雪がたくさん積もっていたように思う。夏の暑さはもっとマシだったように思う。僕が寝たり起きたりしている間にも、少しずつ世界は変わっているらしい。この人…

それはスポットライトではない

昨日は朝6時に目が覚めたっけ。起き抜けが一番お腹がすく。寝ぼけまなこで台所、なにやら食べた記憶がある。いくらでも食べてしまう。ご飯を食べれることは幸せなことだ。朝は当たり前のことが身にしみる。陽が差し込んだ台所はなんだか新しく感じた。窓辺で…

ああとうう

今朝起きたら辺り一面に雪が積もっていた。この地域ではこの冬初めての積雪だ。昨日は無かった雪を目にすると、嬉しい気持ちになる。それは子供の頃から変わってない。もう雪で遊ぶことはないけれど、僕が嬉しくなるのは雪が降ることによって他の人との一体…