きみがぼくを教えてくれる

僕は僕を記録する係です

見たこともない風景の中に見覚えのあるきみがいて
知らない歌を歌いながら知ってる素振りで歩いてくる
むかしテレビで見た外国の白い建物がある街並みを歩きながら
きみは何か見せたいものがあるかのように手招きしてる
僕はどうしたことか斜めにしか歩けなくて
固い壁にぶつかってしまい座り込む
するときみは笑いながら真っ赤なりんごを差し出してくる
りんごは「食べちゃだめだ」と震えながら僕に言う
もう僕の知っているきみじゃないのかもしれない
太陽が真上にやってきた お腹が空いてくる どうしよう
鐘が鳴る 鐘楼の上で白髪まじりの神父が嘘くさい顔で笑ってる
りんごはいつの間にか年老いて茶色くなっていた
絵画の天使たちがラッパを吹きながら行進してくる
まるできみを讃えている 不思議だな
路傍の雑草からねずみが顔を出し僕に逃げ道を教えてくれたが
たぶん僕の知っているきみじゃないのだろう
なのにあの時の甘い香りがする ほんとに不思議
パラグライダーに乗った兵士たちがたくさんの矢をばらまく
驚いたきみは 少女のような顔つきで僕を見る
その顔は僕の知っているきみだ
短針と長針がぴったり重なって やっと出会えた