heron

flower in the rain

急な土砂降りのときに一人でいるのは物悲しい。僕は左手で本のページをめくりながらビールの空き缶に雨粒溜めて飲んでるよ。すると、自分自身の記憶がまるで自分のものでないような気がしてくる。僕にとっての一番の他人が僕になる。そのとき開いていたページには雨のことが書かれていて、偶然を必然のように感じたりする、そんな現象の名前を教えて欲しい。静けさの中で、誰にも聞こえない声で、秘密裏にささやき合う、透明な天使たちがいるのかもしれない。僕にはいつも予感だけがある。アルコールが気化するように身体から古びた考えが抜けていく。だからといって酔いがさめるとは限らない。土砂降りの中で濡れることのない一輪の白い花がある。僕はその花に水をやりたい。