ときめきは星の爆発

日記。僕の知らない僕を見た。僕は怒鳴るように歌を歌い、削り取るようにギターを弾いてた。あんな僕は見たことなかった。なぜだかとても悲しそうだった。足早に店を出ていく僕を、僕はピアノ椅子に座りながら見送った。その時店内に流れていたラブソングは、流通した感傷を型取っただけの贋作だった。慈しむ心があるのなら、もっと言葉を交わすべきだよ。もっと触ってやるべきだよ。子供の天使が梁にまたがり笑ってた。プラスチックの涙が出て、僕はそれをちゃんと燃えないゴミの方に入れたんだ。

 

2人の男女が恋をして、神話に倣って一番高い塔の前で別れた。恋は少なくとも男の方を変えたようだった。履き慣れていない靴のせいで、男は足を引きずるようにして海へ向かった。海に目的があるのではなく、海へ行くことが目的だった。ふと、ポケットの中で止め忘れたストップウォッチが、膨大な数字をカウントしていることに気づいた。何の損害があるわけでもないのに、男はあわててストップウォッチを停止させた。その時、1つの世界が終わりを迎えた。何1つ、次へ進むことがなくなった。南無三。

 

ときめきは星の爆発で、いつの間にか胸の中に灯る光だよ。1度生まれたその命は、その人よりも寿命が長い。墓の下で、土の中で、棺桶の中で、光り続ける神秘の輝き。やがて夜空が恋しくなって、地上にこっそり現れる。そいつが古来より伝わる人魂の正体さ。