燃えてないのに煙が出る


Cat Stevens - Sitting


日記。最近月が一段と明るい。僕はあまり視力が良くないので、月がぼんやり映って見える。満月の夜には事件や事故が増えるらしい。遠い遠い先祖たちが、満月の夜になにかやらかしたのかもしれない。繋がれた犬の血の中にも、ニホンオオカミがいるかもしれない。そうやって頭の中を散らかしながら、散歩の合間についつい缶ジュースを買ってしまう。家に着く頃に飲み終わるので、だんだんゴミ箱に缶がたまっていく。寒い季節は一人が厳しい。人の声を求める僕は、電話魔になりつつある。応えてくれる友人たちは電話天使といったところ。話す人みんなに、年末年始をどう過ごすか聞いている。それは、自分にとって重要なことなんだと思う。まあ、雪が降っていて欲しいな。そうだったらありがたいな。雪の降る夜はおしゃべりしなくても平気でいられる。

身体にも心にも力が入らない。エイヤと立ち上がっても、へなへなと座り込んでしまう。しかし何度だって立ち上がってやろう。そうするほかない。少し進めば景色も変わるはずだから。僕には僕しかいない。それは研ぎ澄まされたナイフのような気持ちだ。海岸で波に削られた岩のような気持ちでもある...。それなりにいっぱいいっぱいだ。灯りを全部消して眠ってるよ。黒と黒がせめぎ合うんだ。目を閉じても変わらないんだ。子供の頃恐れていた宇宙の話。もう鏡は見たくない。

一人の部屋でいつの間にか眠り、一人の部屋で目が覚める。ぐしゃぐしゃになった布団を見て、燃えてないのに煙が出てると思った。いま、危うい場所に立っている。たぶん落っこちたらなんにもなくなってしまうだろう。身体を温め、心を取り戻さなきゃいけない。たった27年でボロボロな気分だ。さあ立ち上がろう。