久しぶりに夢を見れた


The Velvet Underground - Ride Into The Sun (Good Quality)


店を出て、ちょうど歩き出したくらいから吹雪始めた。まだ暗い空の明け方の、四条大橋に立つ僕は、汽船の煙突のようではなかったか。全身真っ黒な格好をしてることに、家を出てから気がついた。雪は音を吸い込み、静かに動く河原町はカラフルな無声映画のようだった。帰り道の割には高揚していた。もうどうしようもない過去を、頭の左へ押しやっていた。見知らぬ誰かに手を振っても、振り返してくれるような気がしてた。そのような夜がたまにあり、最後は決まって一人だけれど、不思議と寂しくないものだ。しばらくじっと立ち止まる。そこに僕が焼き付くまで。いま橋から飛び降りても、下に舟があるかもしれない。そこには未来の恋人が乗っていて、目が合った瞬間、二人は旅に出るのかもしれない。まあまあ。ちゃんと帰りました。まぶたを半分開けながら、電車に遅れず僕は帰った。ダリの描いた時計を手に、子供みたいに弄びながら。久しぶりに夢を見れた