俺たちの身体を切り刻んで星にしろ

もう何年も前、とあるバンドのサイトで「俺たちの身体を切り刻んで星にしろ」という曲のタイトルを見かけたことがある。それが何という名前のバンドで、タイトルも合ってるのかどうか、もう覚えてない。曲調も。けれども時々思い出す。俺たちの身体を切り刻んで星にしろ。せめて俺にはそうしてくれ。ずいぶん勝手なことを言う。

世界は変わりつつある。なんて他人事のように冷静に言うことはできない。今までだって明日のことを考えるのは苦手だった。不安感は高まるばかり、どんな悪意ももう目にしたくない。僕の形はますます不安定、夜には溶け始めてくる。できることを考えてる。自分なりに試している。できるだけ。朝陽がいつもより意味深く見える。限りがあることを感じて、時計の音が気になってくる。頭の中に浮かぶのは、今まで出会ってきた人たちで、どうか無事でいてほしい。これも僕の勝手な願い。周りの人に迷惑かけてきたことばかり思い出す。なぜもっと自分の気持ちを話さないのか。僕にも不思議なことなんだ。

最近、目を閉じて見えるのは。誰もいない深夜の教会に透明なクロスをまとって跪く女性がいて、いや、女性かどうかもわからない、僕はその人を美しいと思って見ているが、恋心を抱いているわけでもなく、近づこうという気も起らない。ただ見ている。その人は火のついた大きな蝋燭の前から動かない。窓はぜんぶ開いていて、外から木々のざわめきが聞こえる。そして、永遠に夜明けがやって来ないような気がする...