色んなポーズ

ふと思い浮かんだこと。僕は自分がなにかに打ち勝った姿を他人に見て欲しいのではなく、なにかと戦っている姿を他人に見て欲しいのではないか。もしそうならそれはポーズでしかない。脳みそが見えた人体模型みたいに滑稽だ。他人に認められたことを思い出そうとしてもなかなか難しく、人を信じる心があんまりないのかもしれないとも思う。自分の知らない自分がいて、自分の邪魔をする。これが最も厄介なことじゃないか。歪んだ顔したきみの前、僕は口をパクパクさせながらなにも言えないでいる。それでもきみのことを好きな気持ちもそこにある。僕は、自分のどんなに古い記憶を遡っても、そこにやりきれなさが混じっているのを感じる。脚色がないことが尚更虚しく、モノクロどころの話じゃないのだ。

 

17歳の頃作った曲を改めて録音している。「虎を連れた女の子」という曲だ。当時、狭くて弱っちい自分の世界で描いた理想の女の子の歌、理想なんかじゃない、現実逃避のための想像の産物、動かず他力本願で。今はそう思う。けど、それがその時の精一杯だったわけで、だから曲が作れたとも言える。それにメロディーは気に入っている。30分くらいで作ったと思う、冬にストーブの近くでギターを弾いていて歌っていた光景を覚えている。創作することは人間的に前向きな行為だと思っているところがある。いくら暗い内容でも、それならそれで全力で暗い内容を表現すればいい、というような。まあしかし、ギター片手に無人島に漂着したなら、迷わず焚き木にするだろうな。そして地平線ばかり眺めて、案外イカダを作ったりもしなさそうな