eve #1

世の中にコロナウイルスが登場してから1年あまりが経った。暮らしの変化には慣れてきても、この事態に対して未だに非現実的な物を見ているような、不思議な感覚を抱き続けている。テレビを見てもインターネットを見ても必ず目にするコロナの文字にもいい加減疲れてきた。存在する脅威が未知数であるということは恐ろしい。宇宙人やUMAに期待を寄せることが出来るのは、それらが確かに存在するかどうかわからないからだろう。結局生きてる人間に怖くなる。怖い話を読んだ後、いつもそう思うように。誰の顔も区別できないくらい大勢でかたまっている名前も知らない人たちに怖くなる。

私たちの望むものは 決して私たちではなく
私たちの望むものは 私でありつづけることなのだ

『私たちの望むものは』岡林信康

昔のフォークソングにこんな歌詞があったことを思い出す。僕は昔から私たちであることが苦手だった。隣の顔色うかがって、自分の意志とは裏腹に足並み揃える私たちが。みんながやってるからやることが。その中で自分自身を嫌いになっている私のことが。こんな歌も思い出す。

私は私よ もともとこんなよ
笑いたかったらきゃっきゃ笑うし
愛してくれれば私も好きだわ

『私は私よ』作詞:Jaques Prevert 日本語詩:小笠原豊樹


今夜は何かの前夜。毎日そう思うことにしよう。クリスマスよりイブの方が楽しい気がする。楽しいことならいつでも歓迎。起こってもないことに心をすり減らすのはやめにしよう。出来ることをやれば良いよ。出来ることは限られてる。やりたいことをやらなくちゃ。時代と共にあるけれど、時代と私は別々だ。

何事もバランスなのかもしれない。何度そう口にしたことだろう。わかっていても、変わっていく前に忘れるんだろう。明るすぎるところにいても、何も見えない暗がりにいても、居心地の悪さを感じるもんだ。極端を選ぶとつらいんだ。わかってる。わかるよ。精神と身体、意識と無意識、インプットとアウトプット、交感神経と副交感神経、私たちであることと私であること...どうにか自分を好きでいたい。どうか自分を好きでいて。勝手でしょう。けど誰かを思いやることも誰かをけなすことくらい勝手なもんです。気持ちってきっとそういうもんです。だからあんまり我慢なさらず


もうがまんできない|JAGATARA