慣れない電車に乗り、知らない駅で降りた。東京の町を行き来していると、なぜだか飛び出す絵本を思い出す。それからビルに囲まれた墓地について考えた。一瞬は目を開いている間に、永遠は目を閉じた中に生じるはずだ。帰り道がなぜあんなにもあっという間に感じるのかということ、今まで読んできた本の中に一つも書いてなかったことに気づいた。今夜も話し声より大きないびきをかいて眠るのだろう。いろいろな人がいる。本当にいろいろ人がいるのに、ずいぶん長い間自分ばかりを見てきたものだ。
じゃがたらの江戸アケミの詩集を読んだ。汚い公衆トイレみたいな言葉もあれば、スペースシャトルから眺めた地球のような美しい言葉があった。江戸アケミは本当のことを探し続けた。エネルギーに溢れた火山みたいな人だ。三軒茶屋にあるレコードショップフジヤマのてっぺんには、彼の言葉が掲げてある。やっぱり火山みたいな人だ。
詩が降ってこない。詩は、芸術作品ということに置き換えて構わない。自分の内にある天使の存在を信じてないということかもしれない。天使は、霊感ということに置き換えて構わない。うたいたいうたはなに?うたは、表現したいものということに置き換えて構わない。ひまな時間があるほどなんとでも言える。毎日働きながら考えるだろうか、宇宙とか真実とか、そういった類のことを。僕は、それでも構わない
うたうたいは うたうたえと きみ言えど 口おもく うたうたえず。うたうたいが うたうたわざれば 死つるよりほか すべなからんや。魚のごと あぼあぼと 生きるこそ 悲しけれ。
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