わからないという言葉がぼくのすべてを隠してしまう
どうでもいいと言ってしまえばそこで終わってしまうから僕は1つの答えを出したい
この街の隅っこで慣性の法則が退屈を上乗せしていくけど
僕が見たいのは作り上げられた画面越しのドラマじゃなく体液で語られるメッセージ
毎日眠りの中で良い夢を見られるなんて思っちゃいない
ただ たった1つ僕にぴったりの言葉をください
眠る前に呪文のように唱えますので
約束しなくても大丈夫です
セヴンティーン
何もかもから抜け出したくていつも僕は出口を探して遠くへ行こうとしていた
ギターケースに荷物を詰め込み、ロックンロールのバイクに乗って
通り抜ける住宅地では暖かい夢を見ている人たちがいたはずだ
僕は凍り付いた夢を舐めていた、けれど溶けた頃にはいつも朝になっていた
後から聞けば、帰ってこない僕を彼女はずっと探していたらしい
だから僕が帰ったら僕を殴ろうと決めていた、と
知らない街の知らない道の上を知らんぷりしながら歩いていた僕は
本当は暖かくなりたいくせにいつも冷たい道を選んでしまうのだとそのとき気がついた
結局出口なんてどこにもないから、僕にはいつも生きることだけが残った
そしていつの間にか雨降る公園に彼女のことを呼び出していた
「ずっと苦しいまんまだね」と言う彼女の前で
名もない墓標のように突っ立っていた僕は
新しい入り口を、彼女に見た気がした
寄り道いっぱいしていこう
これはいつかは終わる旅なんだと思った
しかし悲しくはない
それは我々の大事な共通点だから
あの夜語り合ったことや、共に見てきた景色をつなぎ合わせれば
君が何者であろうと大した問題ではないのだよ
今はこうして流れる時間の上で舟を浮かべてる
どんな豪華な舟もオンボロな舟が通り過ぎるのも気にしなくていいね
僕は寄り道いっぱいしていこうと思っている
そうして僕の部屋の窓から見えた景色を
またいつか君に教えたいと、そう思う
僕たちの苦しみはいつか映写機を通して研ぎ澄まされたリアルとなり
情熱(red)や純粋(blue)が白いスクリーンに映されるだろう
その時僕たちがつけてきた足跡は大きな意味を持ち
まるで勇敢な戦士のようにここに立っている気分になる
こんな夜は恥ずかしげもなく起きていて
朝陽が昇ったら手を叩いてはしゃぎまわろう
夜が破れて
犬の散歩ではなく犬と散歩、なんだ
海を見るのは好きだったが山を見るのも好きになった
父や祖父には道端の植物や鳴いている鳥の名前がわかる
僕にはまだわからない
音楽も人の声もいらなくなる時がある
そんな時は風に吹かれるためだけに風に吹かれるといい
心はいつも無意味な数字をカウントしていて
それが溜まりだすと息苦しくなってしまう
朝焼けとゴッホの描く朝焼けは全く違う
やっぱりゴッホは人間なんだ
狂気と正気の間から または狂気の渦の中
男も女も随分馬鹿らしく感じて僕は空を目指そうとするが
結局それは夢見る男の考えに過ぎない
朝より夜明けが好きなんだ
でも気がつけば朝に目覚める
気がつくたびに深く息を吸っていた
教室
授業で誰かが描いた絵を僕はすごく良いと思ったんだけど
みんな馬鹿にしていたから僕も馬鹿にした
授業で誰かが書いた作文を僕は好きになったけれど
みんな何も言わないので僕はおかしいのかなと思った
僕はまるで呪いにかかっているようだった
それも自分でかけた呪いのように思われた
体についた細かな傷に染みる塩も効く薬もあった
ありもしないものを思い浮かべて一日が過ぎることもあった
先生は先生を演じている人ばかりだったので
大して気にもとめなかった
僕は壁を殴ったり目覚まし時計を壊したりした
好きな文庫本を破いたりもした
初めて金縛りにあった
家族は家族でないような家族だった
誰もいない森の中にある小さな池をじっと眺めていた
今ならなんて言う
良い絵だねって言うのか、良い作文だねって言うのか
いつの間にかといういうように家でいるようになり
一度先生に騙されていじめっ子と無理矢理会わされたりもした
遠くの明るい空を見てたりすると
僕には行きたいところがあるように思えた
ボールを蹴ったらしぼんでいた
あんまり家に帰りたくなくてうろついたけど
蚊に刺されたり寒かったりで帰ってしまう
教室で飼っていた小さな魚をみんな真剣に育てようとは思ってなかった