やさしい世界

ほんの小さなズルさを噛みしだきながら
ぼくはどんどんズルくなってゆくような気がした
うずくまり、自分の手のひらしか見れなくなって
自分の行く先を自分で決めれなくなっていた
そうして迷い込んだ森の中にはやさしい世界があり
そこにはやさしい人たちが住んでいて
大きな木の下の木漏れ日の中で話をしていた
やさしい人たちを弱い人たちと言う人もいたが
やっぱりやさしい人たちだとぼくは思った
たくさんのいびつなオブジェに囲まれながらぼくはたくさんの話をした
木と話せるという人や、天使が見えるという人や
色々な人がいた。そして誰もが陽だまりのような顔をしていた
やさしい人たちには愛という言葉がなかったけれど
時折吹く風が代わりとなる役割を果たしていた
あの時ぼくはなぜそこから帰ろうと思ったのだろう?
いつの間にかぼくは立ち上がり家に帰ることを皆に告げていた
やさしい人たちは日が暮れても陽だまりの顔だった
ぼくを見送ってくれて、大きく手を振っていた
1人の帰り道ぼくはなるべく何も考えないことにした
ただただ歩いた。それでもちゃんと足は家へと向かっていた
やわらかい向かい風の中でぼくは感じていた
誰にも秘密だと思った
その気持ち

真夜中、

真夜中、僕は家を抜け出して
パジャマ姿で黒い川を眺める
そうしてひとりぼっちの中に
なにか真実を見い出そうとする

川底には目を閉じた裸の女が沈んでいる
七色の薔薇の花を口にくわえている
流れることも出来ない重さが彼女の
悲しさなのかな

真夜中、今は二時を過ぎた

魚たちは目を開いて泳いでいるので
僕は思わず話しかけてしまった
一枚ウロコを売ってくれ 一枚ウロコを売ってくれ
あなたたちのその美しい鎧を

魚たちはそれは出来ないと言った
だが野性の海の想い出を語ってくれた
眠そうな魚たち 目を見開きながら
行かなければならないところがあるという

真夜中、今は三時半

ああ、僕は手紙でも書こうか
小さな舟に乗せて流すんだ
手紙には「読んでくれてありがとう」と書こう
返事は期待できないからね

まあとにかく今は朝陽を浴びて
粉々になっていく吸血鬼みたいな気分だよ
それなら君に杭で打たれる方が
いいと思ってるんだよ

真夜中、もうすぐ夜が明ける

だから未だ青い春

叫びだしそうな想いの生まれたところと行き着く場所は?
校庭の隅で毎日生まれたり死んだりする生き物は
入学してから卒業するまで一歩も動くことはなかった
僕は花火大会を家から見ている
だから未だ青い春
冷たい雨が降っている
壊れてしまいそうな想いのきっかけと支えるものは?
ゴミがたくさん浮いた海にツバを吐いた
あきらめが僕を分解していくように感じた
僕は誰もいない電車に乗っている
だから未だ青い春
冷たい雨が降っている
濡れてもいいと思っている

彼:空っぽになった酒瓶を片手に持ちゆっくりベランダに出る。
彼:「友達の家になにか大事な物を忘れたような気がするよ。それは、いつも持ってなくちゃならないようなものだ。敬虔なクリスチャンにとっての十字架のようなものだ。だが、俺はもう戻れないんだ。帰り道を帰らされるんだ。家にはたぶん誰もいないさ。俺の部屋はあの日俺が出ていったままで、きっと暗く冷たい。俺はそこで忘れ物のことを思い出し続けるだろう。」
彼:ベランダから飛び降りる。
私:あわててベランダに行き見下ろす。
道路が一面が黒い川になっており、彼は古い木舟の上で仰向けになっている

LAILA LAILA

目を開けずとも 見える出来事
耳を塞いで 聴こえる言葉
何も言わずに 伝わる心
優しく包む 2枚のつばさ

oh laila, laila laila,
月と太陽の間にいる
oh laila, laila laila,
研ぎ澄まされたものをくれるひと

少女のように 笑うあなたと
老婆のように ほほえむあなた
同じ瞬間は 2度とはないと
優しく包む 2枚のつばさ

oh, laila, laila laila
月と太陽の間にいる
oh laila, lailalaila
研ぎ澄まされたものをくれるひと

YOU ARE HERE

夜空に浮かんだ十字架
冷たい風が吹いていた
帰り道はいつも短い

あの日手を振って別れた
きみのことを考える
いつまで経っても家に着かない

遠くから口笛の音
思い出せない歌

鏡に映った姿が
笑いながら問いかける
静けさの中に叫びは消える

あの日手を取って歩いた
きみに伝えた言葉に
いつまで経っても返事が無くても

きみがいた街へ行くたび
きみに会えると思っていた

YOU ARE HERE
SO I'M HERE
YOU AND ME AND YOU

きらきら

いまぼくの中にある
きみへの気持ち
忘れないでいたいだけ きらきらきら

暗闇の中にいる
きみは知ってる
こぼれ落ちた涙が きらきらきら

月を見て夢見ても
ほんのちょっとの小銭だけ
街灯の明かりが きらきらきら

日が昇った時間でも
夢を見て眠ってる
カーテンの隙間から きらきらきら

忘れないでいてほしい きらきらきら
きみの中にある きらきらきら