見慣れたビルの街並みが

いつしか海に変わっていた

波は涙をさらっていった

それでも水底に咲いた花は上を見上げ

これが最後の歌になるわと

途切れることなく声をあげた

ここはひどく透明な世界

見落としたものは沈んでゆく

それに引っかかった僕らは沈めないから

太陽に一番近い生き物になる

ありがた迷惑な話

選ばされた恵み

化石から蘇ったやつらに今度は食われる番

波は涙をさらっていった

わからなくなってしまった

水平線の先にはなにも見えない