長い間奏

生活のところどころでヘンリー・ダーガーのことを思い出す。部屋の掃除をしたり夕飯の支度をしたり、超現実的な風景の中で彼が創った超非現実的な風景に想いを寄せる。いや、その超非現実的な壮大な物語を紡ぐことに一生を費やし、誰に見せるでもなく死んでいった圧倒的なリアリティに惹かれているのかもしれない。僕は芸術が好きな割には生き方に芸術性がない。SFが好きな割にはちっぽけな出来事に頭を悩ませてる。長いこと学校に行かなかった割には

僕は僕には言葉がなくなった!どっかへ行ってしまった!僕は僕には音が聞こえなくなった。やっぱりどっかへ行ってしまった。

ダニエル・ジョンストンシド・バレットを聴きながら、そんな気がする。そんな気がする。ああ、また頭の中が燃え始める。だから事実を書こう。夏が来た。夏なんてあっという間。彼女の言う通りだと思う。人生は短い。先生の言う通りだと思う。海へ行こう。浦島太郎にならないように、夕方には帰って明日に備える。だらだらと汗をかきながら熱気の底をはぎしり燃えてゆききする、おれもひとりの修羅なのだ。いやいや、扉の向こうにいる誰かの"怒ってないよ"という言葉を聞いてからじゃないと出ていけない、子供みたいな、大人じゃないか。そんな気がする。そんな気がする。けどそれだけかな。それだけじゃないでしょう