消えることのない僕の緑よ

東京で見える唯一の星が、あなたのふるさとはあっちですよと教えてくれる。でも僕まだ帰りません!よく遊んだ裏の山、木々は静かに目を閉じていて、僕は裸で川で泳ぐことが出来た。時間は歴史を知りたがり、先へ先へと進んでゆく。僕は、散歩するように生きていきたい。そう思う。

 

冷蔵庫の中

キンキンに冷えた昔の写真

食卓の上

ごはんはないけど食器が置いてある

階段をのぼり部屋へいく

むかし飼ってた犬が何度も駆けおりてくる

ギターがない

なかったことにする

家の前を誰かが走り去る

白紙の手紙が速達で届く

街の方からお祭りの音が聞こえる

友達がやってくる

僕は窓辺から友達を見ている

友達は帰っていく

水を出しっぱなしにして

流れる音を聞く

なんだかとても寒くなるが

毛布のある場所がわからない

雨上がりの街そこら中に青白い無数の線が浮かび上がる。線はバチバチ音を立てながら繋がったその先になにかを伝えようとしているみたい。あなたはどこからやってくるのかわからないから、僕はハンカチを、あるいは傘を、あるいはお気に入りのCDを持ちながら散歩してなくちゃならない。もっと気軽な羽が欲しい!不恰好でも履き心地の良い靴が欲しい。

初恋は死なないね。永遠は飴玉みたいに固まって、僕はそれを口の中で転がしてる。溶けることはないんだな。夜になっても鳴くセミの姿がちょっと切ないから秋の虫が早く代わってやればいいと思う。なにをしてもエゴだとしたら、僕はやさしい方を選ぼうと思うよ。月は目を閉じてる。太陽は少し狂ってる。テレビを見るときみたいに明るくして少し離れて見てください。時々休んだりしてね。暗い夜道を彼女が歩いて帰っていく、僕にはまるで嫌な暗示、だからふりしぼってこう言う「おーい!今すぐ出かけようよ!」だとしたら行き先は海かもしれない。自動販売機で変なジュースを買ったりして。時間を忘れて走ろうよ、自分のために。誰も見てないぜ!君の日記なんてな。だからよれよれのシャツでもいいじゃないか。準備運動をしっかりしとけば大丈夫。すべてを噛み尽くして、噛み切れないもの吐きだせ。僕がやさしい人間だとかいいやつだとか興味ないんだ。愛を見つけたらポイントがたまる。電話してくれよ!

僕は真夜中、家を抜け出してパジャマ姿で黒い川を眺めた。そうしてひとりぼっちの中に真実を見い出そうとするんだね。川底には目を閉じた裸の女が沈んでいて、七色の薔薇の花を口にくわえている。流れることも出来ない重さが彼女の悲しさなのかな。魚たちは目を開いているので僕は思わず話しかけそうになってしまう。一枚ウロコを売ってくれって。するとジージー音を立てテレビの顔をした人間が頭を抱えながら僕に電源を切ってくれってお願いしに来た。僕は気が引けたので代わりに一緒に散歩をしようと誘ったんだが、テレビ顔の人間は石につまずいて川にはまって壊れてしまった。ちっ、僕は手紙でも書こうか。笹舟を作って手紙を乗せて流す、手紙には「読んでくれてありがとう」って書こう。返事は期待できないからね。それにいつかは海になるのだろうし。まあとにかく今は朝陽を浴びて粉々になる吸血鬼みたいな気分だよ。それなら君に杭で打たれる方がマシなのかな、どうだろう。月が綺麗なのは当たり前で、僕らが美しさにまわす余裕があるかどうかってことなんじゃないか。僕なら愛を一番最後に残しとくなんてしない、夏休みの宿題と同じだよ。あ、タバコがない

青い春の冷たい雨

病院の診察室から泣きながら出てくる女性を見たことがある
なんて静かでなんて暗く長い廊下だったのだろう
僕が1人を決め込んでいたのは、誰にどう説明していいかわからなかったからか
せめてこの苦しみにみんなが分かるような名前がつけば楽なのにと思っていたが
それで一体何が変わるというのか!

聞いてくれ、おまえはおまえが思ってるほどすごくない、特別なんかじゃない、
だからこそだからこそ自分のことで落ち込む必要なんてどこにもない!
聞いてくれ!聞いて!

僕は自分を責めることに飽きてしまっただけ
僕は!僕のことわかりたい
じゃないと誰にもなんにも言えないような気さえする
解き放ちたい
夢は終わった
甘い曖昧な夢だった
冷たい雨が教えてくれた
いや、
気付いたんだ

シェルターから愛を込めて

君のことを考えるけどまったく検討つかなくなる
僕は僕のことをよく分かっていないから
だがそんなわからないことが僕の明日に繋がっている
たとえば愛についての説明書ばかり探していたんだろうけど
そんなもんはない
そもそもあらかじめ用意されたものなど何もないかもしれない
刻一刻と形を変える心を持って、
何かたった1つのことを正しいとは言えないんだ

僕はわからなくなる時がある
そんなとき僕は小さくなったエンピツのようにとても頼りない
とても弱い人間になる
だがそんな弱さが僕の明日に繋がっている

僕はやさしい人間なんかじゃない
やさしさは、いつも強さの中にある
僕は、君のやさしさを好きになった

過去と人は変えられないとしても
一緒にいることで変わっていくことはある
どれだけ長い手紙を書いても言いたいことなんて1つや2つ
それも似たような意味の1つや2つ
夢見がちな男は遠回りを好む

君が僕の中で美しくなってしまう前に君を見つけなければ
シェルターから愛を込めて