布団に入って見上げるとスナイパーがまたがっている
スナイパーは隠れもせず長いライフルを僕の額に当てている
撃とうとしない 心底許せないような目で見ている
バチバチ音を立てながら涙が流れていく
霧にむせかえり 気がつくと 獣たちが僕を見ている
どこかで急ブレーキの音がする
では僕は 僕の気持ちは
向かってくるヘッドライトの中に吸い込まれていく
僕もやつらも嘘つきだった
次のページは破れて読めなかったというわけだ
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手に取ると砂になる その砂は手のひらに一切を残さずすり抜ける その砂は風に流されてどこかへと落ちるはずだが まるで無かったかのように 見つけられなくなる
体中熱くなって叫ぼうとする その口を後ろから塞ぐ黒い手
身動き出来ないまま聞きたくもない言葉を延々と聞かされる
重くもなりたくないのに軽くもなれない
では僕は、僕の気持ちは
公園の片隅 操られている やつらは知っているかもしれない
夢なら覚めてくれ 夢じゃないから覚めないんだ
ここからは線の向こうが見える 線の向こうからはこちらが見えないような気がする
何も聞きたくないのなら 何も言わない 何も言わない
溜まった血を逃がしたい (やめなさい) 泥の詰まったピストル
じゃあ僕は あ そうか ごめんなさい 一人で帰る
入ってきた穴から一人で帰る さよならもごめんなさい
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よぞら、じゅうじか、つめたいかぜ
よぞら、じゅうじか、つめたいかぜ
砂場には僕とあの子しかいませんでした
今思えばもう夜になっていたから
みんな帰っていたのだと思います
僕は空き缶に水を入れて砂にかけていました
文字を書いていました
あの子は砂で山を作っていました
山はとてもキレイにできていました
あの子もそう思っていたようでした
山のてっぺんに飾る花を探しに行きました
水飲み場の近くに白い花が咲いていました
あの子はその花を摘んで山に飾りました
僕もあの子も嬉しくて笑っていました
そしたらキラキラ水が光りました
水も光りますし 笑います
よぞら、じゅうじか、つめたいかぜ
3つえらぶなら
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春が来ないまま俺たちは冷たい息を吐いている そこから離れた方がいい!重たくなった雲が落ちるから 寒くはないのに 冷たい息を吐いている 「知ってましたか? こう、指をはじくと霜が降りるんですよ…」白も黒もない 灰一色 仮死状態の野原で ブレた瞳であいつが言う 俺はぼやけた黒目を拭う回数が増えてきた そのうえ手袋に穴が開いてることに気づく 指まで灰色になっていることに 気づく 光沢を失った黄金虫が 靴にぶつかる ああ もういいのに 「今持ってきますね。今度はうまく出来たんじゃないかなあ」 枯れ木に出来た洞に手を突っ込んであいつが話す もういいのだ 入ることも 出ることもできないこの場所に 俺たちは落ちてきたのだから… 飛ぶことのない蚕蛾たちが足元に群がっている 灰色になった黄金虫を乗せて 俺に登ってくる 俺はむせかえりながら 人差し指をくるくる回し なにかつぶやいている それはもう俺にも聞き取れなかった
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怒り 憤り 震え立った血が 助走をつけて血管を駆け巡る が 出口見当たらず ぐるぐる周り そのうちしょぼくれて 「ごめん」と言いながら心臓に帰ってくる
馬鹿にするな 馬鹿にするな やめろ 知らないだろう 頭 違う 空気 のような 違う 嫌い 笑うな おまえは見えない 気楽なもんだ なりたくない 上に立ちたいだけ 嘘つき 僕も おまえも だから 言葉を奪い合う 部屋に帰れ 忘れる いや 当然に過ぎる 僕は嘘をつく 欺く 偽る あれは違う 時計がごまかされた 扉をしめろ 入らないように 走る 追いかけてくるはずない 息 おまえは帰れ
おまえたちは帰れ
僕を笑うな
家族に触るな
消え失せろ
嘘 嘘
嘘つきだから
Laila
僕の線はどこかで違う線とまじわることがあるのかな?とか考えながら
線をまっすぐ引くことに集中し過ぎてきたのかもしれない
頭の中をそのまま伝えられたらなと考え出したらキリがない
ただ自分の中には出口がある。そんなこと言いながら自分を責める
どちらがいいかな?これはずっと同じ曲じゃないんだぜ
風に揺れる枝と枝が剣を交わすようにぶつかりあう
その間に見たことのない白い花が咲いている
木々の黒い影は重なり合い俺を閉じこめようとする
とめどないこの葛藤に困惑するのは主人公であるようで名前のない何者かのようだ
静かな時間が今は必要だぜ。たった今だけ。次の音楽を読み込んでいる時間とする
田んぼから聞こえるカエルの鳴き声が一斉に止む一時にシラフに戻る
ここでは月の光を遮るものが少ないから溶けた闇が身体をくねらせる
僕は窓辺から眺めてるよ。みんな知ってるように事の顛末を知ってるよ
静かな時間。僕は感傷と切り離した冷たさが欲しい。たった今だけ
一人にさせてくれ、と僕は僕に言ってる