見たこともない風景の中に見覚えのあるきみがいて
知らない歌を歌いながら知ってる素振りで歩いてくる
むかしテレビで見た外国の白い建物がある街並みを歩きながら
きみは何か見せたいものがあるかのように手招きしてる
僕はどうしたことか斜めにしか歩けなくて
固い壁にぶつかってしまい座り込む
するときみは笑いながら真っ赤なりんごを差し出してくる
りんごは「食べちゃだめだ」と震えながら僕に言う
もう僕の知っているきみじゃないのかもしれない
太陽が真上にやってきた お腹が空いてくる どうしよう
鐘が鳴る 鐘楼の上で白髪まじりの神父が嘘くさい顔で笑ってる
りんごはいつの間にか年老いて茶色くなっていた
絵画の天使たちがラッパを吹きながら行進してくる
まるできみを讃えている 不思議だな
路傍の雑草からねずみが顔を出し僕に逃げ道を教えてくれたが
たぶん僕の知っているきみじゃないのだろう
なのにあの時の甘い香りがする ほんとに不思議
パラグライダーに乗った兵士たちがたくさんの矢をばらまく
驚いたきみは 少女のような顔つきで僕を見る
その顔は僕の知っているきみだ
短針と長針がぴったり重なって やっと出会えた
■
・君や僕が欲しいものは大体が結果論だ。だから力を抜くべきこと。
これがいつか終わる旅ならば寄り道をすること。
・僕、がやさしいのならば僕、がやさしいと思う人たちはやさしすぎる。
横断歩道を渡る時ですら神がつきますように。
・人から目をそらしたいときに月を見る。月は霊感を与えるという。
月を見てから月を美しいと思う。
teenager
すり切れた背表紙 息を切らしながら
ライ麦畑駆け抜けるホールデンくんが
「ほら、はやくつかまえて 時間がないんだ」
着の身着のまま飛び出して旅をしたい
でもぼく、ぼく、
失うものなんて大してないはずが
なんだか大切ななにかを持ってる気がしてる
teenager このままじゃ駄目だよね
そうだね それでも そんなに言わないで
teenager 嘘なんかじゃないんだよ
本当さ本当に本当のリアリティ
澄み渡る青空 まるでうわの空で
なんとはなしに見ていたらミスターレノンが
「ほら、想像してごらん 簡単なことさ」
気持ち1つで変わること
その気持ち1つがぼく、ぼく
teenager 消えないんだ想い出は
いつでも どこでも いまでも なにしても
teenager 好きだったあの頃の
あの子を この頃 今頃 思い出す
誰にも会いたくない 1人でいいはずが
なんだか特別な誰かに会いたい
誰かと話したい
誰かを探したい
誰かを待ってる
誰かに見つかりたいんだよ
teenager このままじゃ駄目だよね
そうだね それでも そんなに言わないで
teenager 嘘なんかじゃないんだよ
本当さ本当に本当のリアリティ
■
あなたがたの意のままに そのままに 頭を地面にくっつけて 首が戻らない体勢 あらかじめそうであった形に成っていく 止まらない 毒を持った植物が 成長する もし もし 意味を持たなかったら そういう生き物がいたとしたら 命を奪って 無かったことにするのか 誰もいないところでなら 誓いを破るのか たやすく言い切るのか 言わなくていいんじゃないのか そうして俺を異端にするのか 除けるのか 利用していたのか 取り決めていたのか 目配せさえ俺にはわからぬと思っていたのか 消すのか その後普段通り2人で帰るのか 俺はいらなかったのか 聞こえないふりをするのか
日付変更線 明日にむかって叫ぶがとどかない
あなたがたは1日を刻み遠のいてゆく
俺は腐り切った過去から滑り落ち ちょうどぴったりの形の穴に 落ちていく 音も無く