朝っぱらからセミが鳴く

毎日のように蚊に食われる

血をくれてやっているのだと言いながら

片手で足を掻いている

台所に置いたコバエ取りは機能せず

目標は依然目の前を嫌がらせのように飛行中

半年間オスだと思って飼っていた熱帯魚が

実はメスだということを最近知った

しれっと名前を変えて呼んでみた

彼女は口をぱくぱくしてたが

ガラス越しには聞こえなかった

 

わかっちゃいたけど暑い夏だ

まったく嫌になるけれど

割とゴキゲンな心の裡よ

なんと平穏なこの頃の家よ

我が暮らしよ、恋人よ

窓の向こうがどうであれ

今この部屋が明るければ

 

 

背中に隠したナイフを捨てて

お互いの手を取り合って

脈々と受け継がれた一本の枝先で

同じ方向を見つめてる

なにはともあれのんきにゆこう

戦いながら祈ってる

あべこべな僕を笑っていいよ

わかっちゃいたけど暑い夏だ