ああとうう

今朝起きたら辺り一面に雪が積もっていた。この地域ではこの冬初めての積雪だ。昨日は無かった雪を目にすると、嬉しい気持ちになる。それは子供の頃から変わってない。もう雪で遊ぶことはないけれど、僕が嬉しくなるのは雪が降ることによって他の人との一体感が生まれるからかもしれない。真っ白に染まった家々や道路を見ていると「僕はみんなと同じ空間にいるんだ」という実感が強くなり、どこかほっとした気持ちになる。それは雨の日も同じであるように思う。月や流星群を眺めている時も。子供の頃、よくテレビの金曜ロードショーを見ていた。見知らぬ大勢の人たちが今この瞬間同じ映画を見ていると思うと、やっぱりどこかほっとした気持ちになっていた。しかしインターネット、SNS上でそれを感じることはあまりない。その大勢の人たちの声が聞こえてしまうからだろうか。この一体感は僕の秘かな思い込みで成り立つのだろう。案外自分は寂しがり屋なのかもしれない。未だに一人の過ごし方がへたくそだ。けれども一人にならないと気づけないことがたくさんあった。

最近やたらと眠くなる。手術を終えた飼い猫は、ストーブの前で寝っぱなし。もう14,5年共に暮らしている、妹のような存在だ。妹はいつの間にか僕を追い抜いておばあさんになっていた。不思議なことだ。時間はそれぞれの生き物の中にあるものらしい。心臓の鼓動がノックのように聞こえてくる。僕たちは生まれたときからずっと天国の扉を叩き続けているのだろうか。


きみがいないとつまらんよ。味のなくなったガムのような、伸び切ったゴムのような生活です。きみん家の屋根の上まで飛んでいきたいもんです。周りを見回して期待することはやめにしたよ。自分の力を信じてみるよ。根拠はないけど若さだよ。根拠がないから若さだよ。ステージの端ギリギリできみに歌いかける。気が乗ったなら上がっておいでよ


雪はこどもに降ってくる 由紀さおり 安田祥子