夜と朝を繰り返し

夏には弱い。もともと体温が高くて汗っかきなこともあり、毎夏夕方にはヘトヘトになっている。派手に濡れたシャツを見て、体の半分以上が水分だという事実を実感する。クーラー要らずだった山間にある実家でも、近年耐えきれない暑さが続いている。このまま温暖化が進み、いつかは年中夏のようになってしまうんだろうかと考えたりする。あちこちに砂漠が出来たりして。あの生命力の強いゴキブリも、山が無くなったら絶滅してしまうと以前どこかで目にしたことがある。生き物のいない空き家になった地球を想像すると寒気がする。もちろんその頃には僕は跡形もない。

昨夜は多摩川で野宿した。家があるのに野宿するなんてホントに変なことだ。けど、外で寝てみたかった。幼い頃はよく外に布団をしいて眠る自分の姿を想像していた。なぜだかそうすると気持ちが落ち着いた。屋根も壁もないところで寝転がってると、いつもの余計な考えごともあまり顔を出さなかった。暗闇に目が慣れてきて、星を2,3個見つけられた。ウシガエルが鳴いていた。水鳥も眠らず鳴いていた。あっという間に空は明るくなっていった。服は朝露で湿っていた。寝転んだまま草と同じ目線で眺める世界はとても静かだった。生き物にとって自分よりはるかに大きなものは、ただただオブジェみたいなものになるのかもしれない。そう考えると人間のサイズが中途半端なように思えた。小鳥がせわしくさえずりながら、木と芝生を往復していた。僕は自由なんて言葉を考えないようにした。なにも考えないようにした。朝は当たり前のことがよくしみて、それ以上をしたくない。

時間があれば眠ってる。いつも眠くて仕方がない。目が覚めて頭がぼけてる数分の間に安らぎを感じる。毎日たくさんの人がそれぞれの場所を往復してる。僕は自分の頭の窮屈さに疲弊してる。いつも何かが足りない気持ちがずっと変わらず在り続ける。お金も欲しいが真理も欲しい。お金よりも真理が欲しい。愛する気持ちは捨てたくないが、何もわからなくなってしまう前に、うんと遠くへ旅をしたい。