今年はどうだった?と、365個のイルミネーションが問いかけてくる。僕は、なかなかよかったよと言いながら背を向けて、暗い路地を歩いていく。辿り着いた家の窓には、すでに灯りが点っている。それがこの1年の内に僕が見つけた光だということを、もうずいぶん長い間会ってない友達に再会することがあれば伝えたいと思うのだが、そんな機会があるのかわからない。僕はずいぶん勝手だったし、僕たちは必然的に変わっていく生き物だし。こうやって文章に書き出すと、変わっていくということはなんともさびしそうに見えるものだが、実のところ、僕はそんなにさびしくないのだよ、ワトスンくん。近頃、自分の子供時代を思い出していて気が付いたのだが、どれもさびしい思い出ばかりでね。それを思えば、大したことはないね。本当のところ、わかりあえないということは、それほどさびしいものじゃないのかもしれない、とさえ思っている。きみは、その人と結婚するのか?秘密を打ち明けた相手を親友と呼ぶのか。嘘に罪を感じたまま、贖うようにやさしくするのか。かまうものか。外に出なよ。五感を使って、言葉はいらない。たまには1人で風に吹かれて、ぼーっとするのもいいよ。

今年の始めに見た夢の中身を、今でもよーく覚えてる。そのとき僕は大きな分岐点にきていた。僕の夢はわかりやすい。暗いが、わかりやすいので笑えてくる。僕は夜の海の中にいた。浜辺では少年たちがBMXの練習をしていて、そのずっと奥には住宅街があり、家々は緑と黄色の温かな光を放っていた。僕は、そこに行きたかった。もうずっと前からそう思っていた。夢の景色は絵に描いた。未来でこの絵をまた見るだろう。僕は良い道を選んだ。道はこれまでずっと続いているものだけれど。